殻
背中に翼を感じていた頃は
すぐに自分の城へ死に物狂いで飛びかえり
青い海の水で血まみれの身体を洗い流した
血が流れ落ち
僕の肌が見えて
やっと我に返る
そして、そこから逃げ出したことを何度もくやんだ
僕は、悔やむことが嫌だった
だから、翼を切り落とした
それから、
外で僕の身体が再び傷つき血まみれになったけれど
もう翼の感覚はなく
僕は城への戻り方を失っていた
逃げる術を捨てた僕は
外の世界に残って必死に戦った
痛みに耐え続けていたら
やがて
僕の傷に涙する人たちがあらわれた
僕は
その人たちを
守りたいと思った
どんな深い傷ももう痛くなくて
外の世界に作った新しい家は
毎日賑やかになった
いつの間にか
僕はこの世界の人となっていた