抱擁 | 君に伝えたいこと

抱擁




空から降りてきた天使を


ぼくは震えた手でそっと抱きしめた




君はとても冷たかった






ぼくは身体を何度も炎に変えて


君を焼いた






再び熱をもった君は空へとかえっていく






その繰り返しが僕の胸を焼く




君に会いたくて


君に伝えたくて




何度も


何度でも


空を仰ぐ






空から君が舞い降りてきたときの喜びと


君が空へ帰ってしまうときの苦しさ






空を仰ぐ時間の方が


君を抱きしめているときの時間よりも


ずっと長いけれど





君と一瞬でもいられるなら


その長い時間を胸の中で耐え続けることができた






僕は口にすることで


君が空から二度と降りてこないかもしれないから


それだけがこわくて


一度だって君を引き止めたことはなかった






でも


飛び立つ瞬間に見せた君の涙で


君が僕の言葉をずっと待っていたことに気づいた





僕は飛び立とうとしている


君の腕を掴んだ


振り返ろうとした君を


僕は静かに抱きしめた


君の足は地を踏みしめた