色
スポーツ万能で
大学も一流を出て
仕事だって順調で
でも
そんな僕は
たいくつだった
みんながはしゃぐ行事も
僕にとっては
365分の1にすぎなくて
親が毎日のようにつれてくるいいとこのお嬢さん
甘い汁にさそわれて僕の肩にとまる黒い蝶たち
音声の無いものくろの映画を毎日見ているようだった
色を写さない僕の目
音を雑音にかえてしまう僕の耳
色あせたままの僕の時間
ぼくは
休暇をとって日本を出た
どこでも良かった
どこにいってもモノクロの世界だと思っていたから
だけど
それは突然起こった
僕の目には色のついた世界が広がり
君の黒い瞳と紅い唇が映った
僕の耳には音が奏でられ
君の優しい声がひびいた
長いこと空き部屋だった僕の中に
君はどんどん入ってきて
遠慮なんて全然なくて
そんな激しく美しい君を受け入れたいと思った
異国で出会った祖国の君
祖国で見つけられなかったのは
君は異国に旅をしていたから
僕は美しい花嫁をつれて祖国に帰った
まわりは大騒ぎで
ドアを開ける音がひっきりなし
それでも
振り返れば
美しい君の顔がそこにあって
僕は
君を守ると101度目の誓いをたてた